北米ギター放浪記

番外編#2「フィレンツェ」

2008年7月29日

routemap

夜中に列車が動いていない気配で目が覚め、カーテンを開けると目の前のベンチに酔っぱらいが寝ていました。フィレンツェの1つ手前のボローニャ駅でした。時刻表によれば予定ではあと1時間ちょっとでフィレンツェに着くので、いつでも降りれる用意をしていたところ、30分ぐらいで到着しました。どうやらフィレンツェで30分ほど停車するようです。前夜に車掌にパスポートとチケットを渡していて、その際に朝食は何がいいかとも聞かれたのですが、すでに列車は駅に着いています。朝食はさておき、パスポートだけは返してもらわないといけません。車掌がいる個室まで行ってパスポートを返してもらう際に朝食はどうすると聞かれましたが、コーヒーだけでいいと伝えたら、おちょこみたいなミニカップが出て来ました。

train

駅前で待っていると、1人の若者が笑顔でこちらに近寄って来ました。イタリアでお世話になる日本で言えば高校二年生のP氏です。お母さんが運転する車でホテルまで行き、荷物を置いてからP氏と2人でフィレンツェの街にバスで向かいました。まだ朝の7時ということで、観光名所もひっそりとしていて、撮影するにはいい環境でした。P氏は地図を片手にフィレンツェの観光名所を全部見せたいような様子でしたが、さすがに高校生のペースでは動けないので、11時近くに再びバスでホテルまで戻り、数時間仮眠を取らさせてもらうことに。今回のツアーにおける最南端ということで暑さは覚悟していていましたが、想像していたほどのものではなく、湿気も不快に感じるほどのものでありませんでした。ホテルの窓からは久々に蝉の声が聞こえてきました。

station

2時過ぎにP氏とロビーで待ち合わせ、ホテルの近くのレストランでパスタとカップの底に飲み残しのように入ったエスプレッソを頂いてから彼の家まで徒歩で向かいました。ギターを持ってくれると言ってくれるのでお言葉に甘えましたが、5分もすると辛そうな顔をし出したので結局私が持つことに。持ち慣れていないとそれなりに大きくて重い物なのでしょう。道すがら夜は彼のお父さんが魚のパスタを作ることや、食後はフィレンツェを見渡せる丘に連れて行ってくれることなど、その日の予定を教えてくれました。P氏の頭の中には私を連れ回す計画がぎっしり詰まっているようです。午前中に行ったフィレンツェの街中は観光客も多くゴミゴミとしていましたが、ホテルの周囲や彼の自宅があるあたりは普通の住宅街で、「鉄道員」などの古いイタリア映画ファンの私としては、こういう雰囲気の中でまったりしていた方が良かったりするのです。家は集合住宅なのですが、中はまさに「鉄道員」の映画のセットのような作りでした。少しするとP氏の友人が何人か来ました。日本でも高校生と離すことは滅多にないうえ、言葉もままならない割には、それなりに盛り上がりました。その後、いったんホテルに戻り、夕食までの間練習させてもらうことに。

Firenze

7時少し過ぎにお父さんが車で迎えに来てくれ、再びP氏の家に向かいました。魚のパスタとはどんなものかと思いきや日本で言うボンゴレでした。日本のものとは若干違う香りがしましたが大変美味でした。パスタの場合は、他の料理よりも多めに食べてしまう癖があり、最初によそってもらった分が少なめだったのもあり、2杯目をおかわりさせてもらい、ついでにパンも一切れ頂きました。ところが、これは前菜で、その後ローストビーフやポテトなどが出てきて、今回の旅で初めて"腹八分目"ルールを破ってしまうこととなりました。少しシャイなお父さんは時間が進むにつれつたない英語で話し始めてくれましたが、お母さんはP氏の通訳なしでは会話ができませんでした。今回の旅のきっかけやイギリスやドイツでの話は興味深そうに聞いてくれました。ご馳走になったお礼として食後にギターを弾きました。2曲目からお父さんがファルセットボイスでハミングし出し、それに合わせてP氏も唄い出し、すごくいい雰囲気でした。ビートルズよりもS&Gの方が好きだとのことなので、正式にはレパートリーにしていない「サウンド・オブ・サイレンス」や「スカボロー・フェア」なども弾きました。

その後、アパートを後にしてフィレンツェを見渡せるという丘の上に連れて行ってくれました。その道すがらお父さんが「明日は大事なマッチがあるから行けなくてごめんね」と言うので、何のマッチかを聞いたら、スペインからバルセロナが来てフィオレンティーナと親善試合をするとのこと。すごいものとバッティングしてしまったものです。私もそっちの方に行きたいぐらいです。P氏もそのことを言い出すきっかけがなかったみたいで「ライブの日程が決まってからマッチの方が決まった」とかどこかばつが悪そうです。まぁ仕方ありません。運を天に任せて臨むのみです。

night

丘の上は観光客の姿はあまりありませんでしたが、カップルやら家族連れが大勢いて、路上ではバッグや人形などを売る露店も並んでいました。中にデジカメ用の三脚を専門で売っている露店があり、これは中々賢い商売だと思いました。フレンツェの街はそれほどライトアップされていないので、全体に明るい夜景が見えるというよりは、所々明るい場所があるといった感じなので、三脚があればより奇麗な写真が撮れるというわけです。その後、ホテルまで送ってもらったのですが、門限があるのかホテルのドアがロックされていました。私を降ろしたP氏とお父さんがすでに立ち去っていたので少し焦りました。入り口にあるチャイムらしきものも、どれがボタンなのかが一目では分からないので、押せそうなものを全部押していると出掛ける時にフロントにいた人が来てドアを開けてくれて、何とか部屋に戻ることができました。

*文中に登場する人物は、本人の確認が取れるまではイニシャル表記にしてあります。

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目 次

はじめに
出国まで
シアトル
カリフォルニアへ
休息日
サニーベール
LAへ
レドンドビーチ
ツーソンへ
アルバカーキ
コロラドへ (奇跡の旅の始まり)
バーザウド
デンバー
オクラホマシティーへ
オクラホマシティー 2 days
テキサスへ
サンアントニオ
ジョージタウン
ダラス
ヒューストン 2 days
ベントン
ナッシュビル (CAAS)
ロスウェル
タンパ 2 days
マイアミ
オーランド 2 days
マートルビーチ
チャペルヒル 3 days
キングスポート
インディアナへ
インディアナ州フィンガースタイルコンテスト
スタテンアイランドへ
マンハッタン
フィリップスバーグ
ナザレス(マーチン工場)
マサチューセッツへ(奇跡の完結)
メシュエン
モントリオールへ
バッファローへ
メドヴィル前乗り
メドヴィル幽霊ホテル
デトロイト
シカゴ
ミネアポリス
番外編
番外編#2「2008年欧州ツアー/出発まで」
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レムゴ
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