セーハ

 セーハとは、1本の指で複数の弦を押さえることを差すギター用語です。一般的に初心者が最初にぶつかる壁がこのセーハだとよく言われています。一口にセーハと言っても色々な種類のものがあります。たとえば、ローコード(ネックの先端の方で押さえるコードの総称)のFでは、1弦から6弦までを人差指1本で押さえ、その他の指で3〜5弦を押さえます(写真1)。クラシックギターの名曲「禁じられた遊び」も最初につまずくのが7フレットでセーハするB7ではないでしょうか。たとえセーハそのものはちゃんと押さえられるようになっても、何故かその場所に来ると右手まで意識してしまい、それまでと同じパターンを続けるという単純なことすらできなくなってしまうようです。余計な力が入っていることが原因だと私は考えます。セーハそのものに要する力だけでなく、左右の手の力のバランスも考えた練習を心掛けることが大事です。


写真1:セーハを使ったFコード

 通常、指を何かに押し当てて力を入れると力の大部分は第一関節より先に入ることになります。Fコードで苦しむ方の多くが1〜2弦の音をクリアに出せないことで悩むようですが、力の入れ方を少し考えれば意外に早く解決するかもしれません。Fコードの場合は、第一関節より先で押さえるべき弦は6弦のみなわけで、必要のない3〜5弦は、極端に言うと少し浮かせた状態でも構わないわけです。こうやって少しアーチ状にすれば、1〜2弦も無理なく押さえられるようになります。F7のように、4弦もセーハしたフレットの音を出したい場合も、一度セーハそのもののコツを掴んでおけば少し練習するだけで弾けるようになるです。ただ押さえるだけでなく、どの弦を押さえているのかという意識を指に持たせるようにしましょう。


写真2:3本の弦だけで押さえたFコード

 ソロギターの場合、完全にセーハしてしまうと動きが制約されてしまうので、極力完全に押さえている時間を短くしようとする傾向があります。よって同じFコードでも、写真2のように2〜4弦だけで済ませることも多々あります。ストロークしない限り6弦全部を押さえる必要がないからです。低いベースが欲しいときは写真3のように、人差指で6弦を押さえ、その他は必要な音だけ押さえることもあります。スティール弦の場合はネック幅が比較的狭いので親指を回すこともできますが、私のように指が余り長くない者には握ってしまうことで動きが制約される部分もあります。


写真3:ベースを加えた簡易Fコード

 セーハする指は人差指だけとは限りません。中指、薬指、小指ですることもあります。たとえば、Bbコードはクラシックギターでは写真4のように全部の指を使って押さえるように習うようですが、写真5のように押さえれば2本の指だけで済みます。私は、両方をその前後の指の動きによって使い分けています。セーハする場合は、1弦に触れないように気を付ける必要がありますが、弦が振動する幅の分だけ空ければいいということを頭に入れておけばすぐに克服できるでしょう。


写真4:全部の指を使ったBbコード

 セーハに限らず、どの弦のどのフレットを押さえればいいのかということを常に考えながら練習することだと思います。怪力の人が必ずしもセーハがすぐにできるようになるわけではありません。最小限の力で音を出す瞬間のみしっかり押さえるというのが私の理想とするところです。左手を指板上で躍らせ、ステップを踏むタイミングで右手で弾(はじ)くということを常に目標としています。


写真5:薬指のセーハを使ったBbコード

2004年10月6日(水)

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