WIth A Little Help From My Friends

With A Little Help From My Friends

1990年代後半から2000年代前半に使用していたmp3.comという、今でいうYouTubeのようなオーディオ専門サイトで知り合ったアメリカのMark Easley氏がプロデュースし、2004年にアメリカでリリースしたCDの再発版です。当時、ビートルズのカバーCDは日本では作り難いという話をよく耳にし、そのことをMark氏に伝えたところ、「そんなはずはない、世界中であらゆる人が作っているではないか!」と動いてくれて実現したアルバムです。録音は日本で行い、ジャケットデータなどと一緒に郵送して制作しました。2010年頃にプレスした枚数がすべてなくなり、以降は廃盤扱いとなっていました。この頃は、主にスティール弦を使用していたこともあり、ナイロン弦は友人から借りたものを使用しています。

使用楽器:Tacoma ER22C、Tacoma Papoose P1、S.Nishino 1983製クラシック

使用弦:D'Addario EXP16、DeSalvo Folk 12*54、Augustine Red、Elixir Nanoweb Light

録音:2004年1月13日〜2月18日(横浜)

リリース:2016年12月

収録曲: 1. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band / 2. With A Little Help From My Friends / 3. Maxwell's Silver Hammer / 4. I Am The Walrus / 5. Blackbird / 6. Piggies / 7. Strawberry Fields Forever / 8. Michelle / 9. Ob-La-Di, Ob-La-Da / 10. I Will / 11. All You Need Is Love / 12. The Ballad Of John And Yoko

1. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band - 邦題:サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド

by John Lennon & Paul McCartney
使用ギター:Tacoma ER22C
弦:D'Addario EXP16
Key: A / Tuning: standard
録音日:2004年1月13日

ロックの名盤として名高い同名アルバムからのタイトルカットです。アルバム内では、最初にスローテンポのバージョンが、最後から二曲目にアップテンポのバージョンが入っていますが、ここで弾いているのは最初のスローバージョンの方をもとにアレンジしたものです。途中のホーンセクションの部分も、特徴的なフレーズを拾い出し、できるだけ特徴をつかむようにしてあります。アンソロジーの中でポールが「アルバム発表後一週間もしないうちにジミ・ヘンドリクスがライブで弾いてた」と言う場面があり、ジミヘンはどうやって弾いたのだろうかと想像しているうちにアレンジが出来上がりました。

2. With A Little Help From My Friends - 邦題:ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ

by John Lennon & Paul McCartney
使用ギター:Tacoma Papoose P1
弦:DeSalvo Folk 12*54
Key: E (C) / Tuning: standard
録音日:2004年2月17日

Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Bandと同じアルバムに入っている曲で、アルバム内ではこの2曲がメドレーのようにつながっています。このアルバムでも、その順番通りにしてみました。多くの方の協力のもとで実現したことから、アルバムのタイトルにも使わせてもらっています。「電気を消したら何が見えるかい?」「見えないけど、それは僕のだということは分かる」というちょっと意味深な歌詞で終わるこの曲は、リンゴがリードボーカルを担当しています。ここでは、Papooseのチューニングを半音下げてオリジナルと同じキーにして演奏しています。

3. Maxwell's Silver Hammer - 邦題:マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー

by John Lennon & Paul McCartney
使用ギター:S.Nishino 1983製クラシック
弦:Augustine Red
Key: D / Tuning: standard
録音日:2004年1月21日

この曲が入っているAbbey Roadも先のSgt. Pepper'sと並びポピュラー音楽史に残る名盤です。この曲は、このアルバムの中では比較的地味な方ですが、私の中では一番のお気に入りです。映画「Let It Be」の中で、ポールがコード進行を他のメンバーに教えながらリハーサルするシーンがあり、そこで基本的なコード進行を覚えました。確か銀座の映画館だったと思いますが、ビデオなど無い時代で、スクリーンの前にマイク内蔵のラジカセがずらっと並んでいたのが印象的でした。実は、僕らもでっかいラジカセを鞄に入れて持ち込んでおり、膝の上で抱えながら録音していました。このアレンジはナイロン弦で弾いています。特に理由はないのですが、ポール特有のノスタルジックな曲調にはナイロン弦の方が合うと思ったからです。

4. I Am The Walrus - 邦題:アイ・アム・ザ・ウォルラス

by John Lennon & Paul McCartney
使用ギター:Tacoma ER22C
弦:D'Addario EXP16
Key: A / Tuning: standard
録音日:2004年1月13日

Magical Mystery Tourからの選曲です。不思議なコード進行を持った曲で、イントロはギターソロでは滅多に使われないBコードから始まります。ジョンはこのコードの使い方にとても特徴があり、他の曲でも結構使われています。数年前までは、この曲をソロで弾くなどという発想は微塵にもありませんでしたが、たまたまインターネットで見つけたコード譜を見ながら適当に弾いてたら、いつの間にか最後まで仕上がっていました。これが、一連のビートルズアレンジを始めるきっかけとなっています。映画としての「Magical Mystery Tour」の評判はあまり芳しくなかったようですが、ポールがアンソロジーの中で「I Am The Walrusの演奏シーンが入っているだけでも十分価値がある」と言っている通り、ジョンの曲の中でも特に個性が強いナンバーです。

*2014年にリリースした「I Feel Fine」に、ナイロン弦で演奏したものが収録されています。

5. Blackbird - 邦題:ブラックバード

by John Lennon & Paul McCartney
使用ギター:S.Nishino 1983製クラシック
弦:Augustine Red
Key: E / Tuning: standard
録音日:2004年1月16日

"ホワイトアルバム"と呼ばれている二枚組のアルバムに入っている曲で、このアルバム内で唯一のオリジナルアレンジではない曲です。80年代に購入したJohn Knowles氏の譜面集に入っていたものに、大好きなKenny Rankin風のバージョンを加えたもので、厳密に言えば、寄せ集めアレンジになるのでしょう。長い間、Chet Atkinsが録音していると思っていたのですが、最近になって聴いた彼の唯一の録音はまったく別のバージョンでした。自分以外にこのアレンジを弾いている人は未だ見たことも聞いたこともありません。原曲もアコースティックギターによる弾き語りであるため、原曲のイメージが強ければ強いほど意外にソロ用にアレンジするのが難しいのですが、このアレンジでは曲調も変えて見事なバラード作品に仕上がっています。ライブなどで受けのいい曲です。当初、純然たる僕のアレンジではないので、アルバムに入れるつもりはなかったのですが、共同プロデューサのMark Easley氏の説得と行動(Johnから直接使用許可を取得してくれた)により、入れることになりました。

*2012年にリリースした「Good Day Sunshine」には、私のオリジナルアレンジが収録されています。John Knowles氏には、2013年と2014年のCAASでお会いしていることもあり、今回の許可はFacebook経由で簡単に貰うことができました。

6. Piggies - 邦題:ピッギーズ

by George Harrison
使用ギター:Tacoma Papoose P1
弦:DeSalvo Folk 12*54
Key: F (C) / Tuning: standard
録音日:2004年2月17日

"ホワイトアルバム"でBlackbirdのエンディングの鳥の鳴き声に重なるように始まるジョージの曲です。原曲はハープシコードなどを使った、ちょっとクラシック風なものになっており、このアレンジも間奏部分はクラシックギターの練習曲のような感じになっています。「豚はどこにでもいて、今日も自分たちのベーコンを前にフォークやナイフをカチャカチャさせている」といったシニカルな歌詞を持つ曲で、ジョージの曲の中でもかなり地味な方なのでしょう。ライブで弾いても、これがビートルズの曲だと認識する人は少ないみたいです。今回の録音セッションが始まる前までは普通のギターで弾いていたのですが、楽譜を確認してみると、原曲のキーで弾くのにはPapooseの方が都合が良かったので、ここではPapooseを使っています。

7. Strawberry Fields Forever - 邦題:ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー

by John Lennon & Paul McCartney
使用ギター:Tacoma ER22C
弦:DeSalvo Folk 12*54
Key: G / Tuning: standard
録音日:2004年2月12日

I Am The Walrusと同じMagical Mystery Tourからの選曲です。今回、このアルバムを制作するにあたってMark Easley氏から何曲か入れて欲しいと要望された曲があり、この曲はその中の1曲でした。しかし、Markが気に入ってくれている以前自宅で録音したバージョンは、ラフスケッチのようなもので、アレンジとしての完成度が低かったので、一度は断りました。ところが、録音セッションも終盤に差し掛かり収録予定曲もほぼ録り終え少し余裕が出てきた頃に、再びMarkから「試しに録音してみては...」と要望があり、それではということで録音してみたところ意外にいい感じに仕上がったので含めることにしました。

8. Michelle - 邦題:ミッシェル

by John Lennon & Paul McCartney
使用ギター:S.Nishino 1983製クラシック
弦:Augustine Red
Key: A / Tuning: standard
録音日:2004年2月10日

今回の収録曲の中で唯一アルバムRubber Soulからの選曲で、この曲もStrawberry Fields Forever同様、Markから要望があった曲です。実は、この曲も一度自宅で録音して以降、ライブで弾くこともなく、かなりの部分を忘れていたのですが、"誰もが知っている"ビートルズの曲が意外に少ないので、これをいい機会だととらえ、記憶をたどりながらアレンジを再度固めていきました。前回の録音では、スティール弦を使っていましたが、この曲の雰囲気にはナイロン弦が合うような気がしたので、ここではクラシックギターで演奏しています。

9. Ob-La-Di, Ob-La-Da - 邦題:オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ

by John Lennon & Paul McCartney
使用ギター:Tacoma ER22C
弦:D'Addario EXP16
Key: G / Capo: 3rd / Tuning: standard
録音日:2004年1月13日

通称"ホワイトアルバム"からの選曲です。カバーバージョンがテレビのコマーシャルでも使われているので、日本でも馴染みがある曲でしょう。アレンジは、特徴的なベースの動きをキープしながらメロディーを乗せるというストレートなもので、ラグタイムやギャロッピング系のギターと同じような感覚で演奏できます。カポを使用したのは、原曲のBbというキーに合わせるためと、途中で弦を押さえる方の指がストレッチする箇所があり、カポを着けることでその距離を少しでも短くしようとする意図からです。

*2014年にリリースした「I Feel Fine」に、ナイロン弦で演奏したものが収録されています。

10. I Will - 邦題:アイ・ウィル

by John Lennon & Paul McCartney
使用ギター:S.Nishino 1983製クラシック
弦:Augustine Red
Key: C / Tuning: standard
録音日:2004年1月16日

Ob-La-Di, Ob-La-Da同様"ホワイトアルバム"からの選曲です。この曲は、とても自然で覚えやすいメロディーを持っているのですが、なぜか一般には広く知られていないようです。何年か前に、まだこの曲のアレンジをする前に東京でのライブでリクエストされたことがあり、その時は勘弁してもらったのですが、それがきっかけでアレンジしてみました。ハイポジションを使うので、弾いている姿を見ると結構難しそうに見えるかもしれませんが、セーハ(一本の指で複数の弦を押さえる手法)もないので実際にはそうではありません。

*2012年にリリースした「Good Day Sunshine」にも、新録音によるこの曲が収録されています。意外にも、ギターの種類と曲の両方が重複しているのはこの曲です。

11. All You Need Is Love - 邦題:愛こそはすべて

by John Lennon & Paul McCartney
使用ギター:Tacoma Papoose P1
弦:Elixir Nanoweb Light
Key: F (C)/ Tuning: standard
録音日:2004年2月5日

アルバムの最後を飾るのは、世界初の衛星生中継で有名なAll You Need Is Loveです。Magical Mystery Tourからの選曲で、楽譜を一切見ずに、耳で覚えたものを頼りにアレンジしたのですが、実際に楽譜に起こそうと市販の楽譜を見たところ、拍子がコロコロ変わる意外に変則な曲であることに気付きました。音楽家の間では変拍子と呼ばれるものですね。変拍子の曲としては恐らく世界で最も有名な曲なのではないでしょうか。途中のジョージの短い間奏もそれらしく挿入してあります。

*2012年にリリースした「Good Day Sunshine」にも、新録音によるこの曲が収録されています。このトラックをコピーした韓国の少年(当時)スンハ君のビデオには、オノ・ヨーコ氏がコメントし、日本でもそのビデオがNHKで放送されたと聞きました。2008年にドイツを訪れた際、ギターの先生をやっている方が採譜をされていて(当時、私自身はまだ楽譜にしていなかった)、私が弾くバージョンが一部違うと指摘されました。私がアレンジしたものでも、その後世界的に有名になった方が「正しい」ことになるようです。

12. The Ballad Of John And Yoko - 邦題:ジョンとヨーコのバラード

by John Lennon & Paul McCartney
使用ギター:Tacoma ER22C
弦:DeSalvo Folk 12*54
Key: E / Tuning: standard
録音日:2004年2月12日

予備で何曲か録っておいたうちの1曲です。今回再リリースにあたって含めることにしました。弦や録音日時などの詳細に関しては、記憶が定かではありませんが、ER22Cの最後の収録日に録った可能性が高いと思います。他にも何曲か録ったのですが、データが紛失してしまいました。


録音レポート

メインマイクに『RODE NTK』を2本クロスで立てました。このマイクは、アメリカの『dbx 586』という真空管マイクプリアンプ(ミキサーのゲインの様な物)で電気レベルを上げ、『dbx 566』という真空管コンプレッサで薄くコンプレスしました。

メインマイクの補助に『AKG C-451E』を使いました。このマイクは音色に芯を出す為に少しブレンドするぐらいに加えてあります。曲(楽器)によっては『AKG C-451E』の代わりに『beyer dynamic M500』を使ったものもあります。このマイクは、ドイツ製の『TELEFUNKEN V72』という真空管マイクプリアンプで増幅し『dbx 160XT』というコンプレッサで薄くコンプレスました。『TELEFUNKEN V72』はイギリスのAbbey Road Studioに設置されていたことで有名で、ビートルズのレコーディングにも使われていました。

メインマイクから少し離した所にオフマイクとして『SHURE KSM27』を2本ステレオで立てました。このマイクは『MACKIE 1402-VLZ PRO』というミキサーのゲイントリムで増幅し、『dbx 166』というステレオコンプレッサで薄くコンプレスました。メインマイクに空気感や、生々しさを加える為にこのマイクを使用しました。

アナログ機材で調節された各マイクの信号は、『Digidesign 192』というインタフェースでPowerMac G4に取り込みました。この時のデータは、サンプリング周波数:192KHz(CDの4倍)、量子化ビット数:24bit(CDの256倍)、という膨大な情報量になります。

ミックスは、『Digidesign Pro Tools HD2』で行いました。民生用のミックスソフトは、音処理をパソコンのCPUで行いますが、『Digidesign Pro Tools』は、『Digidesign HDカード』という処理専用のPCIカードで行います。

音処理は、過激なことや、音を作り込むと言う事は一切せず、各マイクの音をイコライザで補正し、コンプレッサで整える程度でにとどめています。イコライザは、『Sony Oxford EQ』『Waves Renaissance EQ』コンプレッサは、『Focusrite d3』『Waves Renaissance Comp』を使用しました。

リバーブ処理も現実的にあり得ない派手なエコーはかけず、『SONY MU-R201』でルームリバーブを、『Fostex MODEL 3180』でメインリバーブをかけています。『Fostex MODEL 3180』はスプリングエコーといって、箱の中に6本のスプリングが張ってあり、そこに音を響かせてエコーを作ると言うアナログ機器です。

LRの状態にミックスされた音は、『T-RackS』をという音質調整ソフトでマスタリングしました。ここでは、音の厚みやレベルを調節し、アルバムを通して一貫した質感に整えています。

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